「同一労働同一賃金」についてお客様から、よくお問い合わせいただく内容をお知らせします。

 

Q1 パートタイマーにも、正社員と同じ手当を支給 しなければならないのでしょうか。

A 厚生労働省のガイドラインで役職手当、精皆勤手当、通勤手当など各手当別に「問題とならない例」と「問題となる例」を挙げており、この内容から判断することになります。例えば役職手当の場合、正社員と責任の程度が同じであれば非正社員にも同じ基準で支給することを前提とし、労働時間の長さで割合的に支給することを求めています。また通勤手当では、手当の性質が実費弁償であることに正社員と非正社員で違いが生じることはありませんので、出勤日数などに応じて支給しなければならないこととされています。但し、異動のある正社員と勤務地限定の非正社員で、上限に差を設けることは問題にならないとしています。このように手当ごとに合理性を判断することになるため、一旦、ゼロベースで手当の性格や必要性を検討した上で、手当の改廃や基本給を含めた給与体系全体を構成しなおす必要があるかもしれません。

 

Q2 当社は、定年後の再雇用にあたりフルタイム勤務としたまま賃金を一定額下げていますが、定年後再雇用者にも「同一労働同一賃金」が適用されるのでしょうか。

  A 定年後再雇用者においても有期雇用であれば、パート・有期雇用労働法第8・9条の均等・均衡待遇規定が適用されます。正社員賃金と差

を設ける場合の合理性の判断基準は、他の非正社員と同様であるほか、定年後再雇用者であること(退職金の支給を受けたこと等)もその他の事情として考慮されますが、行き過ぎた賃金差は認められない傾向にあります。賃金差を設ける場合は、可能であれば定年時に「役割」の変更を検討することや、転勤・配置換えがないこと等責任の程度や人材活用の範囲に正社員と違いがあることを就業規則に規定するなどして明確にすること大切です。なお、定年後再雇用者にどのような仕事や役割を与えるかは、原則として会社の裁量範囲であることに変わりありません。多くの中小企業で、定年後も社員にモチベーションを維持して働いてもらうことが必要なことからも、当事務所では定年後再雇用社員向けに、役割変更に対応した短期決済型の賃金表の導入をおすすめしています。

 

Q3 パートタイマーや契約社員にも賞与を支給しなければなりませんか。

A ガイドラインでは、「会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給する賞与制度があれば、正社員と非正社員の貢献が同じなら同額、貢献

度が異なるならその相違に応じた支給をしなければならない。としています。但し、賞与の扱いは現時点で司法判断が分かれておりますので慎重に対応すべきですが、今後は貢献度に応じた支給が求められる傾向にあると考えられます。なお、正社員に業績貢献にかかわらず勤続年数などに基づいて一律的に賞与を支給している場合は、非正社員にも一律支給が求められる根拠となる可能性がありますので、正社員賞与の在り方を含めた検討が必要です。当事務所では、賞与の本来の性質が1年ごとの短期決裁型賃金であることを踏まえ、基本給とリンクさせず各人の貢献度と働き方の違いに応じて、業績と連動させた貢献賞与の仕組みをおすすめしています。これは、賞与の既得権化・固定費化の防止にも繋がります。

 

Q4 同一労働同一賃金は、非正規労働者の問題であり、正社員には関係ないのではないでしょうか。

 

 A 確かにパート・有期雇用労働法は、直接的に正社員間の同一労働同一賃金を求めるものではありません。しかしながら、非正規労働者との

   比較対象である正社員の賃金が合理的な方法で決定されていなければ、非正規労働者から説明を求められた場合に、法律の求める説明責任

   を果たすこと自体が難しくなります。実務的には人事制度を示して説明することになりますので、雇用区分ごとの人材活用の違いを明確に

   整理した上で、正社員・非正社員共通の「役割」をプラットホームにした等級制度に再編することが望ましいといえます。正社員において

   も、就労の長期化によってパフォーマンスや継続就労の面で個人差が生じやすい状況にあり、中途での役割の見直しを視野に入れた柔軟な

   勤務システムが必要な時代が来ています。また国の労働政策も、従来の「完全雇用の達成」という目的から「労働者の生産性向上」に軸足

   を移しており、今後は、客観的な仕組みによって賃金を決定する制度を社員に開示し、仕事への動機づけをしていくことが、すべての企業

   で必須になってまいります。